はじめに
「夜中に何度も目が覚める」「一度覚醒すると眠れなくなる」――こうした途中覚醒は、多くの人が経験する睡眠のトラブルです。
医学的には「中途覚醒」と呼ばれ、睡眠の質を低下させ、日中の疲労感や集中力の低下につながります。
本記事では、中途覚醒が起こる代表的な原因を整理し、科学的根拠に基づいた改善方法を解説します。
夜中に目が覚める主な原因
1. 精神的ストレス・自律神経の乱れ
ストレスは交感神経を優位にし、眠りを浅くする要因となります。特に不安や緊張を抱えたまま入眠すると、夜中に覚醒しやすくなります。
- 参考:厚生労働省「睡眠と生活習慣」
2. カフェイン・アルコール摂取
- カフェイン:摂取後4〜6時間は覚醒作用が持続し、深い睡眠を妨げます。
- アルコール:入眠を助ける一方、睡眠後半のレム睡眠を抑制し、中途覚醒を増加させます。
3. 加齢・ホルモンの影響
加齢に伴い、睡眠を維持するホルモン(メラトニンや成長ホルモン)が減少します。そのため深い眠りが減少し、途中で目が覚めやすくなります。
4. 身体的要因(疾患・不調)
- 睡眠時無呼吸症候群:呼吸停止により低酸素状態となり、覚醒を繰り返す
- 前立腺肥大・過活動膀胱:夜間頻尿による中途覚醒
- 更年期障害:ホルモン変化による自律神経の乱れ
こうした場合は、医療機関での診断・治療が必要です。
5. 睡眠環境の不適切さ
- 室温が高すぎる/低すぎる
- 騒音や光の侵入
- 体に合わない寝具
外部環境が整っていないと、深い眠りに入りにくく覚醒しやすくなります。
改善のための具体的対策
1. 睡眠衛生の改善
- 就寝・起床時間を一定にする
- 就寝前2〜3時間はカフェイン・アルコールを避ける
- 寝る直前のスマートフォン・PC利用を控える
2. リラクゼーション法の活用
- 就寝前に軽いストレッチや深呼吸を行う
- 温かいシャワーや入浴で体温を上げ、寝る前に自然に下げる
- ラベンダー精油など快眠に有効とされる香りを取り入れる
3. 睡眠環境の最適化
- 室温は夏26〜28℃、冬16〜19℃が目安
- 遮光カーテンやアイマスクで光を遮断
- 防音カーテンやホワイトノイズで騒音を緩和
- 頭部・首の形状に合った枕や体圧分散性の高いマットレスを選ぶ
4. 覚醒時の対応
- 時計を見ない(時間を意識することで緊張が高まる)
- 眠れない場合は一度ベッドを離れ、静かに読書や呼吸法を行う
- 「眠れない」と焦ることが二次的な不眠を悪化させるため、リラックスを優先する
まとめ
夜中に目が覚める「中途覚醒」は、ストレス、生活習慣、加齢、疾患、環境など複合的な要因で生じます。
ただし、多くの場合は 生活習慣の見直しと睡眠環境の改善 によって改善が期待できます。
改善しても症状が続く場合や、日中の強い眠気・集中力低下がある場合は、睡眠外来など専門医の受診を検討しましょう。
質の高い睡眠を確保することは、心身の健康維持に欠かせません。今日からできる小さな工夫を積み重ねて、安定した眠りを取り戻しましょう。
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